補完通貨の導入

 私達の生活は、好むも好まざるも加速するグローバル経済の影響を益々受けていきます。通貨は本来の機能(価値尺度・交換手段)から逸脱し、貯蓄・金融取引にウェイトがおかれる様になりました。

「貿易決済は世界の為替取引の5%ほどに過ぎず、80%以上が投機の為の短期資金移動となっている。為替相場は安定性を犠牲にするようになり、通貨金融危機が世界各地で発生するようになった[1]」。というのは知られるところです。

 借入に対する利息も然り、生産や報酬に関与しないお金がお金を生んで、膨れ上がり、日本のみならず、世界的にも、富の格差の一因となっていくのです。
 それではどのようにして通貨を補完するシステムを取り入れるのかといいますと、平成2410月現在、全国12の地区(札幌・仙台・女川・新座・和光・川口・早稲田・高田馬場・新宿・安城・春日井・八重山)で流通利用されている「アトム通貨」の導入が有効なのではと考えています。


 アトム通貨は早稲田・高田馬場の街で、地域コミュニティーを育み、街を活性化させるために生まれた地域通貨です。漫画『鉄腕アトム』の中で、200347日に高田馬場でアトムが誕生したという設定がされており、ちょうど1年を経た200447日、地域の人たちの手によってアトム通貨が誕生しました。2009年度(第6期)より流通エリアを広げ、地域通貨としては例を見ない全国展開となりました。

【アトム通貨4つの理念】

1)地球環境にやさしい社会

2)地域コミュニティーが活発な社会

3)国際協力に積極的な社会

4)教育に対し真摯に取り組む社会

 そしてこの4つの理念に沿って行われる、さまざまな社会貢献活動を支援します

 基本システムは、理念に則したプロジェクトを地元商店や自治会、NPO、行政などが主催し、その参加者に通貨が配布されます。受け取った通貨はアトム通貨加盟店で使用でき、事務局で換金されます。

 単位は馬力。1馬力=1円相当。年間2000万馬力の配布量。加盟店数は約1500(2012年現在)。導入希望地域にはノウハウを提供。

 様々な活用方法が考えられます。安城支部では地元信用金庫と提携し、換金窓口として協力。八重山支部では給与の一部をアトム通貨で支給し、もちろん地元アトム通貨加盟店で使用してもらいます。仙台支部ではアトム通貨による復興支援。加盟店同士の売買など、期限内でアトム通貨は流通します。期限があることで、流通の速度や回転率を高めることが出来ます。

そして、キャラクターのデザイン性、社会貢献性を同時に持つ事により、アトム通貨は換金せずに利用者がコレクションするという現状にあり、差額も大きな財源になっています。

<図2 アトム通貨の流れ>

 新潟市であれば、全く最初から補完通貨を創造していくことも可能でしょう。しかしながら、それには時間・資金・労力が大きく必要となってきます。これだけの実績・キャラクターの認知度・全国展開化と法律上もクリアされているシステムが実在しているのです。利用者は各支部発行のアトム通貨を双方で利用できるというのも、興味深いところです。










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